-買い物行動・意識定点調査- 物価高への挑戦、タイムパフォーマンスへの新たな意識
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身の回りのモノの値上げが相次いだ10月が過ぎ、生活者の「出費」や「値上げと値下げ」に対する意識や考え方はどのような傾向にあるのでしょうか?
様々な商品の値上げは生活への大きな影響が心配される一方、商品やサービスの作り手・売り手にとっても、過度な値上げは生活者の購買減少につながりかねず、無理な価格維持や値下げは安定的な事業継続にも関わる可能性があると思います。
今回は、値上げラッシュ直後の10月7日~11日の5日間に実施したウェブアンケート調査をもとに考察します。
>まず、現在の生活者の出費意欲について聞いてみたところ、最上位項目となる「当てはまる(=積極的に出費をしたい)」のスコアはいずれの項目でも2割に届かず、全体を通して勢いは感じられません。
>その中では、自分の趣味(1位:17.9%)や家族のため(2位:16.1%)のほか、「健康」「快適に暮らすためのモノ・コト」(同率3位:14.3%)といった、生きる上でのベースとなる要素に比較的お金を出したい意識は高い傾向にあるようです。
>一方、「流行・世の中で話題になっているモノ・コト」や“社会貢献”に関連する出費意欲は低いように、物価上昇が続くなかで、家族を含めた狭い範囲に絞った堅実な出費への意識が強まっていることが窺えます。
>年代別では年齢が高い人ほど商品の値上げを受け入れている割合が大きく、その分若い年代ほど「受け入れづらい」と思っている人の割合が多い結果となりました。
>ただし、「十分理解できる」と積極的に値上げを受け入れている層だけを切り取ってみると、20・30代でも10%を超えており、出費の範囲が限られやすい単身世帯の存在も数字にあらわれているものと推測されます。
>また、出費に対する意識によっても回答は異なり、特に「買い物を通じて『環境保全・環境問題の解決』に対しては積極的に出費をしたい」と回答している人のうち、76.7%は値上げを受け入れているように、社会貢献意識の高い人の値上げに対する受け入れ度も高いことがわかりました。
>全体を通して男性よりも女性、年代では年齢が高いほどポジティブに捉えている割合が大きくなっています。
>4人に1人が、「エコの視点からもよい」と捉えているようです。
>一方で、商品の値下げをネガティブに捉えている人は少ないが、50・60代では「ムダ使いの不安」や「生産者やメーカーなど、目に見えない部分で割の合わない目にあっている存在がいるのではないか」と感じている人が他の年代よりもやや高めの結果になりました。
>また、社会貢献への出費意欲が高い層では、品質への不安・ムダ使い・生産者やメーカーへの影響などを心配している人が全体と比較しても高めです。
>価格による若干の差がある上で、プラス5~15%程度の値上げでは「値上がりを実感するが買うのには支障をきたさない」と思っていますが、プラス20%を超える値上げで「買うのをやめようと思う」第一の“壁”が存在しています。次にプラス30%の値上げの時点で回答者の半数が脱落する第二の“壁”となっていることがわかりました。
>一方、値下げに関しては、マイナス10~15%でちょっとお得感を感じ始め、マイナス45%を超えると「値下げ額が大きすぎて品質に不安を感じる」ようです。
今回の調査から、最近の相次ぐ商品価格の値上げは生活者の出費意欲に大きな影響を与えており、家族を含めた狭い範囲に絞った堅実な出費への意識が強まっていることが窺えました。
商品の値上げに対しては半数以上の人が理解をしつつも、その裏では“仕方なく”といったマイナスのマインドがあり、世の中の状況を見ると仕方がないと思いつつも、そこには生活者の明確な限界点があり、それが「プラス20%の壁」であることが調査から明らかになりました。
総務省統計局の消費者物価指数(https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html)のデータを見ると、2022年9月期において既に前年同期比でプラス20%に迫っているアイテム(スパゲッティ➡+19.2% 小麦粉➡+18.0% マーガリン➡+15.8% など・・)も見受けられ、10月の値上げラッシュにより、生活者のマインドとしては限界に感じ始めている部分も出てきているのではと考えます。
年代などの属性により、値上げに対する捉え方にも違いがあるため、その壁の位置も変化すると思いますが、値下げによるお得感を感じるポイントも含め、今後の価格設定やセール・キャンペーン企画検討の参考にしていただければ幸いです(属性別の傾向については、是非お問い合わせください)。
次回のレポートでは、今回ご紹介した生活者の「出費に対する気持ち(積極的に出費をしたいと思うか?)」に関する属性別の傾向や、社会情勢変化が著しい世の中における「モノを持つことそのものに対する生活者の考え方・価値観」についてご紹介したいと思います。是非ご期待ください。
<調査概要>
■調査方法:ウェブ調査
■調査エリア:全国
■調査対象者:20歳~69歳男女 ・未既婚の指定、既婚者の子ども有無の条件無し
■サンプル数: 本調査 合計1,000サンプル
■調査期間:2022年10月7日(金)~11日(火)
■株式会社アスマークが運営するモニターサイト『D style web』の登録会員を対象に調査を実施
私たちが所属するデータマーケティングセンター(DMC)は生活者心理・購買行動などあらゆるデータを収集・解析し、クライアントにおけるコミュニケーション戦略を立案している部門です。
当センターでは、「生活意識の変化」「買い物の未来」「健康寿命の延伸」「SDGs」の4つをテーマに、自主調査を通じて生活者の行動や意識を把握しています。その結果とともに、これから先に起こり得る変化や、商品・サービスなどの企画のヒント等を私たちなりの視点での「気付き」をコラム形式でお届けしていきます。
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