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「新しい金融サービス」から見えてきた!商品・サービスが生活に溶け込むための効果的なアプローチのヒントとは

2023.01.31
データマーケティングセンター 今井 洋

連続レポート(全3回)第3回 家計とモノの所有に関する生活者意識についての調査レポート

家計とモノの所有に関する生活者意識に関する調査レポート第3回では、生活に欠かすことが出来ない「お金」について取り上げていきたいと思います。

身の回りの商品やサービスの値上げが相次ぎ家計への影響が高まる中、日常生活においてリアルやネットでの買い物をしている中で新しい形態の金融サービスの紹介や利用促進キャンペーン等に接することが増えてきました。

そんな現在の社会環境や様々な新しいサービスが提供されている中、人々の「お金を借りること」に対する意識や考え方にはどのような傾向があるのでしょうか?またその傾向は、金融サービス以外にも応用できるのでしょうか?

今回も、値上げラッシュ直後の2022年10月7日~11日の5日間に実施したウェブアンケート調査をもとに考察します。

■金融サービスでお金を借りることへの抵抗感は強い

<Q.以下の目的・金額ごとに「金融サービスでお金を借りる」ことに対する、あなたのお気持ちに当てはまるものを1つずつお選びください>

N=1,000
*20~60代 合計スコア

目的に関係なく、1万円程度の額であっても、ほぼ7・8割の人が「お金を借りる」ことには抵抗を感じているという結果になりました。

趣味や人付き合いといった目的ではさらにそのスコアは低く、“無理のない範囲内で”というのが生活者の基本スタンスということがわかります。

■20~30代の若年層中心に、目的を問わず生活の中に積極的に金融サービスの利用を取り入れている兆しあり

*全体・性別・性年代別スコア

(目的・金額ごとに「金融サービスでお金を借りることに抵抗感は無い」もしくは「どちらかといえば抵抗感は無い」と回答したスコア)

いずれの目的・金額においても男性が女性よりも金融サービスでお金を借りることへの抵抗感が小さく、特に30代男性は、「人付き合いのため」でも4人に1人は一度に1万円程度であれば、お金を借りることに抵抗感は無いと回答しています。

また、「人付き合いのため」であれば、20代女性の1割は一度に5万円程度のお金を借りることに抵抗感が無いと回答しており、「若い時の楽しみは借りてでもせよ」のような傾向も見えてきます。

*職業別スコア

(目的・金額ごとに「金融サービスでお金を借りることに抵抗感は無い」もしくは「どちらかといえば抵抗感は無い」と回答したスコア)

また、「学生」については生活のために一度に1万円程度の借金に関しては31.0%が借りることに抵抗感は無いと回答しており、日々の生活を送るための比較的一般的なツールになっている状況が窺えます。

■若年層は「少額融資サービス」を、中高年は「後払いサービス」を支持

Q.以下の金融サービスの利用について、あなたのお気持ちに当てはまるものを1つずつお選びください

N=1,000
*20~60代 合計スコア

*全体・性別・性年代別スコア

各金融サービスを利用することに「全く抵抗感は無い」もしくは「どちらかといえば抵抗感は無い」と回答したスコア)

*基本的には、クレジット一括払い以外の金融サービスへの抵抗感は強いなかで、以下のポイントが挙げられます。

‐注目ポイント‐

❶若年層との密着度が高い「スマートフォンのアプリを使った少額融資サービス」

近年サービスが増加している「スマートフォンのアプリを使った少額融資サービス」に関しては、20~30代のスコアが高く(20代:13.0% 30代:11.0%)、学生でも13.8%は利用に抵抗感はないと回答しています。

もともと生活費の補填に加え、趣味や人付き合いといった目的でお金を借りることに抵抗感が小さい属性でもあり日々の暮らしを維持したり楽んだりする手段として、生活導線の一部に組み込まれ始めている状況が窺えます。

また、スマートフォン決済が若年層では特に定着しており、お金の借り入れ・使用(支払い)・返済までが全てスマートフォン内で完結することからも、現金そのものを目にしないため「お金を借りている感覚」そのものが従来の借金とは別物になっている部分も大きいと思います。

❷中高年世代まで利用意向がある「後払いサービス」

「後払いサービス(BNPLサービス)」の利用に抵抗感がないと回答した人は全体の15.3%。その中でも中高年女性のスコアが高く(50代女性:22.0% 60代:17.0%)と高いのが特徴です。

(*BNPLはBuy Now Pay Later の略で、商品購入後スマートフォンや払込票で支払いができるシステムです。同じ後払いでも、クレジットカードとは別の決済方法として注目され、近年、日本国内で急速に拡大中です。)

「金融サービスでお金を借りることに対する意識」から見ても “現金主義”で、無理のない範囲での代金支払いを望んでいる人が多く、また、年代的に経済的余裕もあるため先が見通せていることもあり、“お金を借りるのとは異なる「便利なサービス」”としての認識が浸透しているのだと思われます。例えば、テレビショッピングにおいて瞬発的な購入をする際の安心できる支払い方法としての活用も多いのかもしれません。

★今回の気づき・ラーニング

調査結果から、生活者がお金を借りることを日常生活の一部として取り入れ始めている傾向が見られました。これまで「お金を借りる行為」は、生活費の補填や自動車購入など計画的購買での場面が中心であり、“お金を借りる重み”を意識しながら利用するものでした。新しい形態の金融サービスが提供され始めている現在では、最低1,000円からといった返済に影響の少ない金額からの利用や先が見通せている上での後払いといった、お金を借りる心理的ハードルの低さに加え、生活に欠かせないスマートフォン経由での利用や日常生活における身近な決済手段としての存在から、非計画的購買の場面での利用機会が増えてきたことが背景にあると考えます。

また、“お金を借りている感覚を持たず”に気軽に利用ができるため、人々の日常の生活や買い物の一部として自然と浸透してきているのも大きいのではないでしょうか。今後、お金を借りることが生活者の日常生活の一部として浸透が進んでいけば、これまで「今日はお金が無いから給料日まで我慢しよう」としていた買い物行動も、先を見通した上で少額を借りながら「我慢せずに買う」流れが広がっていくかもしれません。売り手側としては、高まる購買欲を刺激し「今買いたい」と思わせる、よりベネフィットを重視した訴求をしていくことがカギになりそうです。

生活者に対して日常利用機会の多いサイトやアプリ、買い物場面等において、商品・サービスの内容等を押し付けることなく生活導線に提示していく方法は、新しい金融サービスに限らず様々な商品・サービスにおいて有効な手段として参考にできるのではないでしょうか。

<調査概要>

■調査方法:ウェブ調査

■調査エリア:全国

■調査対象者:20歳~69歳男女  ・未既婚の指定、既婚者の子ども有無の条件無し

■サンプル数: 本調査 合計1,000サンプル

■調査期間:2022年10月7日(金)~11日(火)

■株式会社アスマークが運営するモニターサイト『D style web』の登録会員を対象に調査を実施

 

私たちが所属するデータマーケティングセンター(DMC)は生活者心理・購買行動などあらゆるデータを収集・解析し、クライアントにおけるコミュニケーション戦略を立案している部門です。

当センターでは、「生活意識の変化」「買い物の未来」「健康寿命の延伸」「SDGs」の4つをテーマに、自主調査を通じて生活者の行動や意識を把握しています。その結果とともに、これから先に起こり得る変化や、商品・サービスなどの企画のヒント等を私たちなりの視点での「気付き」をコラム形式でお届けしていきます。

具体的な課題をお持ちの方、課題がみえていない方でも皆様の状況に合わせたベストなソリューションをご提案します。

ご気軽にお問い合わせください。

 

※調査結果については、クロス集計表をご用意しております。ご希望の際は、弊社お問い合わせよりお願い致します。

※本情報の引用・転載時には、必ず当社クレジットを明記いただけますようお願い致します。

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