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【緊急レポート】4月から生活行動は大きく変わる? 自転車ヘルメット着用努力義務化への意識・取り組みを徹底調査!

2023.03.08
データマーケティングセンター 今井 洋

自転車は日常生活において手軽に利用できる乗り物である一方で、交通マナーの問題や自転車が関連した重大な事故も増えており身近な社会問題の一つとなっています。そのような中、道路交通法の一部改正により、2023年4月1日から、全国において全ての自転車利用者に対し乗車用ヘルメットの着用が努力義務化されます。あくまでも努力義務化のため未着用による直接的な罰則はありません。

愛知県では2021年10月1日から全国に先駆けて実施されていますが、名古屋市が2022年7月に実施した市民向けのアンケート調査によると、着用者は13%程度でヘルメットの普及はまだまだです。

自転車のヘルメット着用は利用者の安全を守るために効果的です。一方、過去に1986年の原付バイクのヘルメット着用義務化以降、原付バイクの利用者が激減した事実からも、“努力義務”ではあるものの、自転車の利用や行動にも影響が少なからず出る可能性があるため、日々の買い物行動にも変化が起こるかもしれません。

そこで、4月の施行スタート前の時点での、ヘルメット着用努力義務化に対する認知から、努力義務化に対する意識、さらに努力義務化がスタートしてからの買い物行動に対する考えについての意識を調査。2023年2月17日(金)~22日(水)の6日間、普段の食料品の買い物に自転車を利用している全国在住の20歳から79歳までの既婚女性300名を対象にアンケートを実施しました。

*1 名古屋市 令和4年度 第1回 ネット・モニターアンケート 自転車の安全で適正な利用について

■4月に迫るも、自分事として捉えている人は少ない自転車用ヘルメット着用

<Q.あなたは、今年(2023年)4月1日から、全ての自転車利用者に対し「乗車用ヘルメットの着用が努力義務化」されることをご存じですか?>N=300
*20代~70代 合計スコア

>「自転車用ヘルメット着用努力義務化」の認知率は約8割となりましたが、具体的な時期や内容まで詳しく知っている人は2割強と、まだあまり自分事として捉えている人は少ない状況が窺えます。

 

■9割の人がヘルメットの普及に疑問。髪型や盗難に対するネガティブイメージが課題

<Q.今年(2023年)4月1日からスタートする「自転車のヘルメット着用努力義務化」に対するあなたのお気持ちについて、以下の項目ごとに当てはまるものを1つお選びください。>N=300
*20代~70代 合計スコア

>自転車用ヘルメット着用努力義務化について、「努力義務なので、実際はヘルメットを着用しない人が多いと思う」と回答した人が9割に達しており、そのためか「着用へのプレッシャー」や「着用が社会的責任のひとつ」と思っている人も4~5割に留まっているのが現状です。

>ヘルメットを使用する状況下では、「ヘルメットの持ち運び」や「ヘルメットの盗難」に対するネガティブな印象が特に強く、「着用による髪型の乱れ」も気になるポイントとして上位にあげられています。

>また、近年多くの自治体で義務化が進む「自転車保険」への影響も8割近くの人が気にすると回答しています。

■30代は着用に様子見。自身の運転経験と体力に自信か着用意向が低い50・60代

<Q.今年(2023年)4月1日からスタートする「自転車のヘルメット着用努力義務化」にむけたご自身のお気持ちについて、以下の選択肢より最も当てはまるものを1つお選びください。>N=300

*今回の回答者については、現時点で自転車用ヘルメットを着用している人は一人もいませんでした。

>その上で、「自転車に乗る際は、常にヘルメットを着用したいと思う」と考えている人は僅か8%と少数にとどまっており、全体の35%はヘルメットを着用しないと回答しています。

>ただし、34%が「周りの動きをうかがいつつ、着用する時を決める」と回答しており、現時点で自発的な行動はなく様子見の状態でも、今後社会全体の空気の変化や啓発活動の強化が進むことで、ヘルメットの普及が一気に広がる可能性が十分にあるでしょう。

 

>年代別スコアを見ると、特に以下の3つの傾向と理由が考えられます。

❶70代では、特に自転車用ヘルメットの着用への意識が高い

➡自転車事故の危険性や高齢による転倒のリスクが高まることから、着用意識が高くなっていると推測されます。

❷50・60代の自転車用ヘルメットの着用への意識が低い

➡自転車に乗っている期間も長く、ヘルメットを着用しなくても事故に遭遇しなかった経験があるのでしょうか。そのため、自分が危険な状況に遭遇する可能性を低く感じているかもしれません。また、70代と比較しても、体力に自信もあるため、転倒等のリスクに対してあまり意識が向けられておらず、ヘルメット着用が必要不可欠であることを認識していない場合もあるでしょう。

❸30代を中心に20~40代では、周りの状況に合わせて着用するかどうかを決めたいという傾向がある

➡様々な情報に触れたり、子育ての中でヘルメットの着用の必要性は理解しているものの、比較的体力がある年代のためか、自転車事故に遭うリスクを低く見積もっている可能性があります。また、髪型の乱れや見た目の格好悪さ等のネガティブな理由もあり、まずは周囲の人たちの行動に合わせて自分も同じように行動しようと考えているのかもしれません。

■ヘルメットの着用が進むことで、日々の食料品の買い物に変化の兆し有り

<Q.今年(2023年)4月1日から「自転車のヘルメット着用努力義務化」がスタートしてからの「日常の食料品の買い物」についてのご自身のお気持ちについて、以下の選択肢より最も当てはまるものを1つお選びください。>
*20代~70代 合計スコア(各項目において「そもそも自転車を使っていない」もしくは「このような買い物の仕方をしていない」人を除いた数が分母)
❶目的・シーン別 食料品の購入について
❷距離別 食料品の購入について

>ヘルメット着用努力義務化による日々の食料品の買い物への影響を聞いてみたところ、3割程度は自転車の使用頻度を減らすことや、自転車以外の移動手段を使う、ネットスーパーを使うといった別の選択肢への検討を考えていることが分かりました。

>着用努力義務ということで、着用への意識もさほど高くない状況下でもあり急激な変化は無いとしても、例えば道路が狭く、自動車の交通量が多い立地(=危険性が高い)にある店舗を避けたり、代替手段として自動車を使うようになった際に駐車場が無い・不便な店舗の利用をやめるなどの買い物行動の変化も十分に考えられることがスコアから考えられます。

 

■初めて買う自転車用ヘルメット「まずは手頃な価格のもので、最低限の使いやすさと安全性があるかどうかを確かめたい」

<Q.今年(2023年)4月1日から「自転車のヘルメット着用努力義務化」にあわせて自転車用のヘルメットを購入するとしたら、どのような部分を気にしますか?>N=300
*20代~70代 合計スコア

>今後、自転車用ヘルメットを購入するときに気にする点は、1位が「価格」という結果となりました。以下、「重さ」「自分の頭の形やサイズに合うかどうか」「持ち運びやすさ」「安全性」までが上位5位の項目となっています。これまで使うことが無かった全く新しいアイテムということもあり、ブランド・製造国といった信頼性につながる要素よりも、「まずは手頃な価格のもので、最低限の使いやすさと安全性があるかどうかを確かめたい」と考える方が多いようです。

 

★今回の気づき・ラーニング

自転車用ヘルメットの着用努力義務化スタートまであと少しになりました。

今回の調査から、自分自身の着用について「常に着用したい」と考えている人が全体の1割に満たないなどの数値からも、努力義務のためヘルメットの普及には時間がかかりそうな状況が見えました。そのような中でも、70代の4割が時と場合によりも含めてヘルメットを着用したいと思っていたり、「周りの様子をうかがいながら着用を検討したい」と思っている人が30代で5割いるなど、若い世代も含め着用の必要性は理解していることもわかり、今後社会全体の空気の変化や啓発活動の強化が進むことで、ヘルメットの普及が一気に広がる可能性は十分にあると思います。

また、今後ヘルメットの普及が進むことで「自転車以外の移動手段を使う」「ネットスーパーを使う」など日々の買い物の行動に変化が発生することも十分に考えられ、店舗立地や業態等によって少なからず影響を受ける店舗もありそうです。それは決してマイナス面というわけではなく、買い物行動の変化に対応することで新たな集客・売上向上の機会が生まれると考えられます。

例えば次の通りです。

集客策:「ヘルメット持参客限定割引」「ヘルメット持参来店ポイント」

品揃え:「ヘルメットを脱いだ時に使用する“携帯型整髪料”、蒸れ防止用アイテムのコーナー化」「エントリーしやすい価格帯のヘルメットの拡充」

商品企画:「折りたたみ型ヘルメット」「ヘルメットに見えないカバー」

このように、生活者の気持ちを掴む新しいチャンスが生まれるのではないでしょうか。この調査が皆さまの企画のヒントに少しでもお役立ちできたら幸いです。

★その他のデータ

  • 今回ご紹介した結果のほかに、「自転車のヘルメット着用努力義務化開始以降のヘルメット着用意向に対する具体的な声(自由回答)」「具体的にどのような自転車用ヘルメットだと着用したいと思うか(自由回答)」「自転車のヘルメット着用努力義務化開始以降のシェアサイクルの利用意向(選択肢)」がございます。
  • 調査結果については、年代別のクロス集計表をご用意しております。ご希望の際は、弊社お問い合わせよりお願い致します。

■調査方法:ウェブ調査

■調査エリア:全国

■調査対象者:日々の食料品の買い物で自転車を使っている20歳~79歳既婚女性 *子ども有無の条件無し

■サンプル数: 本調査 合計300サンプル (20代~70代まで各50名)

■調査期間:2023年2月17日(金)~22日(水)

■株式会社アスマークが運営するモニターサイト『D style web』の登録会員を対象に調査を実施

 

私たちが所属するデータマーケティングセンター(DMC)は生活者心理・購買行動などあらゆるデータを収集・解析し、クライアントにおけるコミュニケーション戦略を立案している部門です。

当センターでは、「生活意識の変化」「買い物の未来」「健康寿命の延伸」「SDGs」の4つをテーマに、自主調査を通じて生活者の行動や意識を把握しています。その結果とともに、これから先に起こり得る変化や、商品・サービスなどの企画のヒント等を私たちなりの視点での「気付き」をコラム形式でお届けしていきます。

具体的な課題をお持ちの方、課題がみえていない方でも皆様の状況に合わせたベストなソリューションをご提案します。

ご気軽にお問い合わせください。

※本情報の引用・転載時には、必ず当社クレジットを明記いただけますようお願い致します。

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