イヤホンの選ばれ方から学ぶ、 効果的な商品戦略とマーケティングコミュニケーションのヒント
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10月は健康強調月間。残暑も落ち着き、平年並みの気温となる場所が増え、外で体を動かすのにも最適な季節となりました。
健康は人生の中で最も価値ある財産と言われることがあります。ただ、健康という言葉は人によって定義が異なりますよね?健康への関心は、中高年層のほうが比較的高い傾向にあるとされていますが、当社が2022年10月に実施したアンケート調査では、若年層でも“自身の健康への出費意欲が高い”という結果も出ています。
そこで今回は、20代と60代男女を対象に健康や自身の寿命に対する考え方を調査しました。世代による特徴を捉え、最適な施策や方向性などを考えてみたいと思います。 今回は、2023年2月2日~7日の6日間に実施したウェブアンケート調査をもとに考察します。
〈あなたとっての「健康」とは、どのような状態であること指しますか。以下の選択肢よりご自身のお気持ちに当てはまるものをすべてお選びください。〉(複数選択可)n=400
*20代および60代 合計・年代別・性年代別スコア
>まず、理想の健康の姿について聞いたところ、全体では、「病気がないこと」が64.8%で最も高い結果となりました。また、生理面や精神面に関する項目が4割から6割程度のスコアを獲得している一方で、社会的・職業的な成功に関する項目は、健康に対する影響がそれほど大きくないことがわかりました。「健康」は「病気」との関連性が強いイメージがありますが、結果としては6割程度のスコアにとどまっており、「健康」の捉え方は一括りにすることが出来ないことがわかりました。「健康」は単に病気を予防することだけでなく、睡眠や食欲、運動能力、ストレスや不満・不安・人間関係の問題など、生理面や精神面の両方が重要な要素となっているようです。
>その上で、20代・60代それぞれ男女の特徴を見てみると、
20代男性:食事は、美味しく食べるよりも“バランスよく”。体重にも気を付けながら、ストレスを溜め込まず生きることが理想
20代女性:ストレス大敵。規則正しくおいしい食事で、肌や髪の調子も含め、身体のコンディションをしっかり整えたい
60代男性:病気無く、ストレスなく、体も軽く。「家庭円満」は健康の決め手。視力も健康のバロメーター
60代女性:肌の調子から血液・視力、良好な人間関係、困難なことにも耐えうる精神力まで、健康の姿の理想は高い。その為には「美味しい食事」も「睡眠」も欠かせない
といった傾向が見えてきました。60代女性で多くの項目が挙がった背景には、自身の体調の変化と向き合いながらも、家事や介護、人生の転機を迎える子どもとの関係など、様々な物事に中心となって対応することもいまだ多い状況があると思います。「困難なことにも耐えうる精神力」のスコアが42.0%と飛びぬけて高いことがそれを物語っています。
〈あなたが「健康でいたい」と強く思うときは、具体的にどのような時ですか?〉(自由回答)n=400
*自由回答をワードマップ化
>特に「健康でいたい」と強く思う時はどのような時か?を自由回答で聞いてみたところ、各年代・性別においても、自身や家族が病気や体調不良になった時などネガティブな場面で感じる傾向が強く、その中でも、20代では職場や仕事の場面などでストレスを感じた時を挙げる傾向があります。
>60代男性では、「孫の顔を見た時」や家族や友人と楽しい時間を過ごしている時などを多く挙げており「幸せな時間のためにも健康でいたい」願望が強いようです。一方で、60代女性では「家族や子どもの事を考えた時(将来を心配・迷惑をかけられない)」といったことが挙がっています。男性とは異なり、「健康でいないといけない」という考え方のほうが強いことが改めて分かります。
<以下の項目ごとに、あなたが自身の健康のために行うことについて、それぞれ当てはまるものをお選びください。>(複数選択可)n=400
*(選択肢1.行っている 2.関心はあるが、実際は行っていない 3.関心が無い のうち[1.行っている]と回答したスコア)
*(選択肢1.行っている 2.関心はあるが、実際は行っていない 3.関心が無い のうち[2.関心はあるが、実際は行っていない]と回答したスコア)
>「独りになる時間」(66.0%)や「趣味の時間を必ず作る」(58.8%)ことなど、健康のために自分自身の時間を大切にする傾向が見られます。また、家族や友人とのコミュニケーションも4割程度と重視されています。
>サウナや銭湯・温泉については、3割近くの人が利用しているのに加え、関心がある人も多く、最近のサウナブームが数字に現れています。
>また、歌を歌ったり、大きな声で笑うなど「声を出す」ことは、年代に関わらず身体に良い行為として認識されています。これは、脳の活性化、ストレス発散、感情の整理だけでなく、家族や友人とのコミュニケーションの促進や、社交場面でのつながりを深める効果もあるためではないでしょうか。
>一方、ジムやサロンなどのリアル施設を利用することや、スマートウォッチを使って日常的な健康管理をする・オンラインの食事・栄養相談を利用するといったデジタルを活用した健康管理は、関心は高いものの、あまり行われていないことがわかりました。また、コロナ禍で話題となったバーチャル空間を活用した運動をしている人は3%と、普及の兆しは見えません。
<あなたが自身の健康のためにお金を使うとしたら、毎月いくらまで出すことが出来ますか。>(単一選択)n=400
*20代および60代 合計・年代別・性年代別スコア
>自身の健康のために「お金はかけたくない」と思う人は、20代・60代合わせて2割程度。基本的にはお金を出すことに前向きな姿勢を示しています。その中でも、20代よりも60代、男性よりも女性のほうが多くの人が健康にお金をかけることに積極的です。
>毎月出せる金額としては、大きく①1,000円以上~3,000円未満 ②4,000円以上~5,000円未満 ③7,000円以上~20,000円未満の3つヤマがあり、20代では1,000円未満を含めやや低めの金額、60代では10,000円以上の出費できる人が10%程度いるなど健康への出費に積極的なことがわかります。
<あなたの世代の平均寿命はどれくらいと思いますか?※あなたと同じ性別についてお答えください。>
(自由回答 ※具体的な年齢を記入したものを5歳刻みで集計)n=400
*20代および60代 合計・年代別・性年代別スコア
>20代および60代の回答者に対して「自分の世代の平均寿命はどれくらいと思うか」について聞いたところ、20代の回答者は60代の回答者よりも自分たちの世代の平均寿命を短めに考えている傾向が見られました。また、女性の回答者は男性の回答者よりも、自分たちの世代の平均寿命を1.1~1.2歳ほど高くとらえている傾向が見られます。
<あなたは何歳まで生きたいと思いますか?>(自由回答 ※具体的な年齢を記入したものを5歳刻みで集計)n=400
*20代および60代 合計・年代別・性年代別スコア
>さらに、回答者本人が具体的に何歳まで生きたいか?についても聞いたところ、20代の回答者たちは回答者が想定する平均寿命よりもやや短い寿命を望んでいるようです(回答者が想定する平均寿命と比べて-6.83歳〜-9.75歳)。一方、60代の回答者たちは平均寿命とほぼ同じもしくはそれ以上の長寿を望んでいるようです(回答者が想定する平均寿命と比べて-1.76歳〜+2.69歳)。性別による違いはあるものの、全体的には年齢が上がるほど、より長い寿命を望む傾向があることがわかりました。
<あなたは何歳まで生きたいと思いますか?>*自由回答をワードマップ化
20代の理由(自由回答) n=200
20代がそれぞれの年齢まで生きたいと思う理由を書いてもらったところ、
>60歳から75歳未満と回答した人では、老いることへの恐怖や金銭面での苦労をしたくない(家族に迷惑をかけたくない)という意見が多く見受けられました。社会不安が高まり、先が見通せないなかでも寿命だけは伸びていくことに対する不安感も背景にはあるのではないでしょうか。
>それ以降の年齢になっても体が不自由になる前までにはという意見は見られますが、せっかくなら長く生きたいという希望を持っている人も一定数おり、科学の進歩を見届けたい・収めた年金はしっかりと貰わないといけないという意見もありました。
同 60代の理由(自由回答)n=200
60代がそれぞれの年齢まで生きたいと思う理由を書いてもらったところ、
>60代でと回答した人は、仕事が定年となれば自分の役割も終わったので今すぐにでも人生に幕を下ろしたいという意見が目立ちました。
>80代半ばまでと回答した人は、家族などに迷惑をかける前までにはと考えており、20代と比較すると5~10歳程度は自身の健康に対する自信があるように見受けられます。
>20代も含めてですが、自分の親や祖父母などを目標の年齢として掲げている人は多いようです。
今回の調査から、世代により健康観と寿命観に大きな違いがあることがわかりました。
20代では、自分自身の寿命を短めに考えている傾向が見られました。この背景には老いや将来の経済的苦労を避けたい意識があり、将来の不安や寿命の延びに対する不安感が存在しています。この背景を考慮し、身体的健康だけでなく、将来の安定やキャリア形成、心理的健康にも焦点を当て、若者の幸福感や健康への意識を高める取り組みを社会全体で改めて構築する必要があるのではないでしょうか。
60代男性は、自身の健康に自信を持ちつつも、定年退職を人生の役割の終わりと捉える傾向も一方であるようです。健康管理だけでなく、新たな人生のステージに向けた準備や支援策も重要です。最近では定年制度の変化も話題になることが多いです。それには課題や懸念も存在しますが、経済的な活力や社会的な貢献の拡大、そして何より、個人の自己実現の機会の増加など、プラスの方向に向けての可能性を秘めていると思います。
60代女性は、自身の体調変化に加え、家事や介護、家族のことなどに対応する必要があることから、「健康であること」へのプレッシャーを感じています。そのため、肌などの見た目から軽快に動ける体までの身体的な健康に加え、メンタルヘルスやストレス管理など、幅広い健康要素へのニーズがあり、それに応える製品やサービスのさらなる拡充が必要です。
また、中高年層は健康への投資意識が高く、高額な健康サービスや製品の市場チャンスが大きいことがわかりました。また、デジタル技術の活用も健康管理において潜在市場があると言えますが、関心はあるものの実際に活用している人はまだ少ない現状です。苦手意識や抵抗感もあると思いますので、活用のきっかけやサポートとなるようなリアルイベントなども必要なのではないでしょうか。
弊社は、多くのお得意先から「健康」をテーマとした委託を受ける機会があります。特に、2019年より都内の某区に於いて官民一体で進めている「シニア向け定期イベント」のお手伝いは、極めて豊かな学びのある経験となっています。
このイベントに参加するシニアの方々は、高齢であっても意欲的で好奇心旺盛です。シニアと言っても、一人ひとりが多様な人格を持っているということが重要なポイントです。
そのため、当社は以下のようなアプローチを大切にしています。
・先入観に囚われずにシニアとの対峙をし、一人の人間として接する。
・データと現場の経験の両面を重視し、仮説を実践して確かな知見を得る。
・独自のノウハウとして蓄積し、社会に還元する。
当社は、シニアの皆様との関わりの中で、彼らの尊厳や貴重な洞察を垣間見るこ機会があります。情報を扱う組織として、先入観にとらわれず、シニアという一人の人間として真摯に向き合うことを大切にし、データと現場の経験の両面を重視します。取得した仮説を現場で実践し、確かな知見として昇華させ、独自のノウハウとして蓄積し、社会に貢献したいと考えています。
また、これらの知見を基にした、シニアマーケティングに特化した独自のノウハウとサービスを提供しております。皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。
■調査方法:ウェブ調査
■調査エリア:全国
■調査対象者:20代男女/60代男女
■サンプル数: 本調査 合計400サンプル (20代/60代 男・女 各100サンプル)
■調査期間:2023年2月2日(木)~7日(火)
■株式会社アスマークが運営するモニターサイト『D style web』の登録会員を対象に調査を実施
私たちが所属するデータドリブンプロモーション本部(DDP)は生活者心理・購買行動などあらゆるデータを収集・解析し、クライアントにおけるコミュニケーション戦略を立案している部門です。
当本部では、「生活意識の変化」「買い物の未来」「健康寿命の延伸」「SDGs」の4つをテーマに、自主調査を通じて生活者の行動や意識を把握しています。その結果とともに、これから先に起こり得る変化や、商品・サービスなどの企画のヒント等を私たちなりの視点での「気付き」をコラム形式でお届けしていきます。
具体的な課題をお持ちの方、課題が見えていない方でも皆様の状況に合わせたベストなソリューションをご提案します。
ご気軽にお問い合わせください。
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