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-夏の新マーケット徹底研究❷-「男の日傘」から学ぶ未来!街の新しいライフスタイルとビジネスチャンス

2023.08.07
データドリブンプロモーション本部 今井 洋

暑さが厳しい中、男性の日傘利用が注目されています。前回のコラムで触れたように、男性の日傘利用に対する心理的ハードルは低く、「携行性」や「アウトドア人気」が普及の鍵となることがわかりました。今回は、前回に引き続き、この夏に日傘の使用意向がある男性の人物像とその背後の価値観やライフスタイルを明らかにすることで、男性の日傘のさらなる拡販・浸透に向けたアイデアに加え、男性にとって新しい夏のライフスタイル提案のヒントを探ります。

■実用性が導くスタイリッシュな男の日傘ライフ

<Q. 下記の項目ごとにあなたのお気持ちにあてはまるものをお知らせください。>N=500

*各項目について、[あてはまる][ややあてはまる][どちらともいえない][あまりあてはまらない][あてはまらない]の5段階のうち、[あてはまる][ややあてはまる]を選択したスコア

日傘の使用意向がある男性の価値観を探ると、使用意向が無い人と圧倒的な差が有ることがわかりました。

❶健康と美容への強い意識…日傘を積極的に使用することで、紫外線のダメージから肌や髪を守ることに真剣であることがわかります。

❷環境への深い関心…環境にやさしい生活を重視しており、エコ素材や環境負荷の少ないアイテムを選ぶなど、日傘の選び方にもその価値観が反映される部分もありそうです。

❸実用性の追求:生活の中での実用性を大切にし、周囲の意見を気にしつつも自分らしい生活スタイルを大切にしていることがわかります。

❹日傘はスタイルの一部:ファッションへの意識も高く、日傘を単なる保護具とはみなさず、自己表現のアイテムとして位置づけています。

 

以上のことから、日傘の販売のヒントとしては、

・メンズコスメ・健康関連の売り場、特に日焼け止めやサングラスの近くに日傘コーナーを設ける

・エコ素材やリサイクル素材を取り入れた日傘の展開

・ファッション性を強化するための豊富な柄や色の選択肢を設ける

・日傘の効果効能を明示し、ユーザーに情報提供する

これらのポイントを活かし、日傘の販売戦略をさらに進化させることが期待されます。

■アクティブなライフスタイルをサポート。趣味が導く日傘の普及と進化

<Q. あなたの趣味をお知らせください。>N=500

>日傘の使用意向がある人々の中には、登山、ランニング・ジョギング、キャンプ・グランピング、屋外スポーツ、カメラなど屋外での趣味に関心が高い傾向が見られ、使用意向無しの人々とのスコア差も顕著に現れました。基本的に日光にさらされる機会が多いことからも、それを遮るものの重要さや快適さをより知っているためだと考えられます。

>このように、日傘の使用意向には趣味との関連性が見られることから、

・各趣味の専門用品売り場に日傘を並べる

・その界隈における著名人を起用した日傘の広告、実際に使用した感想

以上のような、個人の興味やライフスタイルを考慮して日傘の普及や啓発活動を行うことができるかもしれません。

■新型コロナウイルスによる生活変化が男の日傘市場を変えた!?

<Q. 最近数年で、ご自身の暑さに対する「耐性(慣れ)」への変化について、以下の選択肢より最も当てはまるものを1つお選びください。>N=500

>次に、視点を変えて、「ここ数年における暑さへの耐性の変化」について聞いてみたところ、使用意向がある人のうち、7割以上の人々が暑さへの耐性が下がっていると感じていることがわかりました。

<Q. あなたが、ご自身の暑さに対する「耐性(慣れ)」への変化について、(どちらかといえば)暑さに対する耐性が弱くなってきていると思う/慣れるのが難しくなっている理由として当てはまるものを以下の選択肢よりすべてお選びください。>N=203

*前問で、[暑さに対する耐性が弱くなってきていると思う/慣れるのが難しくなっている][どちらかといえば、暑さに対する耐性が弱くなってきていると思う/慣れるのが難しくなっている]を選択した人

>さらに、「暑さへの耐性が下がったと感じる理由」について聞いてみたところ、最も多くの人々が「年齢的要因(体力の低下等)」(69.9%)と「環境的要因(気候変動による温度上昇等)」(49.4%)を挙げていました。

>また、ここで注目したいのが、「運動不足や体力の低下」(37.3%)、「在宅時間の増加により外の環境に慣れなくなった」(26.5%)、「生活習慣の変化(食生活、睡眠時間等)」(25.3%)という項目です。4人に1人以上が指摘するこれらの項目は、新型コロナウイルス感染症拡大による生活への影響が大きく関わっているのではないでしょうか。

>新型コロナウイルス感染症拡大前の生活行動が戻ってきた現在でも、依然として影響を受けている人々は少なくないことが考えられます。その結果、今はまだ日傘の必要性を感じていない人でも、自分自身の体調変化などに気付き、日傘を必要とする人が増えてくる可能性があると言えるでしょう。

★今回の気付き・ラーニング

私たちの周りのライフスタイルや環境の変化に応じて、以前は一般的でなかった行動やアイテムが、当たり前のように受け入れられていく現象が見られます。代表的な例として、日傘をさす男性の姿が挙げられるのではないでしょうか。以前であれば、男性が日傘をさす行為に違和感を持つことも多かったと思われますが、現在の街中を歩けば、日傘をさす男性の姿を目にすることも以前に比べれば多くなりました。私自身も、この夏から日傘を使用するようになりました。そして、日傘の快適性に驚かされました。「日陰が無いなら、日陰を作ればいい」というシンプルな考え方に、今では完全に納得しています。

日傘以外の変化もあります。今年の4月から着用が努力義務化された「自転車用ヘルメット」や、日常のウォーキングをサポートするアイテムとしての「杖」が評価されており、さらにスタイリッシュなデザインのものが増えてきました。数年前から話題にのぼる「チェアリング」もその一つです。このような変化を捉えると、新しいビジネスのチャンスやライフスタイルの提案が見えてきます。

日傘に関しては、駅や公共の場所に設置されている雨天用のレンタル傘を晴雨兼用として提供することを考えると、ビジネスの拡大が期待できるのではないでしょうか。また、猛暑の日に外出する際、涼しい場所を探しても、カフェなどはどこも満員で、暑さの中で疲れ果ててしまうことも少なくありません。このような状況を解決するアイデアとして、「チェアリング」と「日傘」を掛け合わすことで、いつでもどこでも座って快適に過ごせる新しいスタイルやサービスがうまれるかもしれません。

最後に、これらの新しいアイデアやサービスを提案する際、人々の趣味や価値観をヒントに取り入れることが重要です。それによって、新しいライフスタイルの提案がより多くの人々に受け入れられることでしょう。この調査が皆さまの企画のヒントに少しでもお役立ちできたら幸いです。

■調査方法:ウェブ調査

■調査エリア:全国

■調査対象者:20〜69歳男性

■サンプル数:合計500サンプル (20代~60代まで各100名)

■調査期間:2023年6月20日(火)~21日(水)

■株式会社ディーアンドエムの登録会員を対象に調査を実施

私たちが所属するデータドリブンプロモーション本部(DDP)は生活者心理・購買行動などあらゆるデータを収集・解析し、クライアントにおけるコミュニケーション戦略を立案している部門です。

当本部では、「生活意識の変化」「買い物の未来」「健康寿命の延伸」「SDGs」の4つをテーマに、自主調査を通じて生活者の行動や意識を把握しています。その結果とともに、これから先に起こり得る変化や、商品・サービスなどの企画のヒント等を私たちなりの視点での「気付き」をコラム形式でお届けしていきます。

具体的な課題をお持ちの方、課題が見えていない方でも皆様の状況に合わせたベストなソリューションをご提案します。

ご気軽にお問い合わせください。

※本情報の引用・転載時には、必ず当社クレジットを明記いただけますようお願い致します。

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