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-夏の新マーケット徹底研究-「男の日傘」がこの夏ブームに?! 普及の鍵は「携行性」と「アウトドア人気」

2023.07.14
データドリブンプロモーション本部 今井 洋

今年の夏は異常気象の原因と言われるラニーニャ現象の影響が残るなど暖かい空気に覆われやすく、全国的に平年よりも暑くなると予想されていましたが、その通り猛暑が続いています。多くの女性たちがすでに日傘をマストアイテムとして活用している中、新たな風が吹いています。それが男性の日傘の使用です。最近ではその動向に注目が集まり、専用の日傘売り場が展開され始めている店舗も出てきています。しかし、男性が日傘をどれほど受け入れているのか、どのような機能を求めているのかはまだはっきりしていません。そこで、6月20日~21日の2日間、20代から60代までの男性500人を対象に、「日傘の所有」「今夏の使用意向」「求める機能」等についてのアンケートをオンラインで実施しました。その結果から男性の共感を得る売り場作りや新たな商品開発のヒントを探ります。

男も変わる!日傘所有率、若者から広がるムーブメント

<Q.あなたは「日傘」を持っていますか。以下の選択肢より当てはまるものを1つお選びください。>N=500

*20代~60代 合計、年代別スコア

>男性の日傘の所有状況を調査したところ、全体の9.4%が実際に自分用の日傘を持っていることが分かりました。10人に1人に迫る所有率となっており、男性の間で日傘が浸透する兆しが見えます。

>さらに、年代別の所有率を詳しく見ると、20代と30代の若い世代で最も所有率が高く、14%が日傘を持っていることが分かりました。一方で、50代の所有率はわずか1%と大きく落ち込んでいます。しかし、60代になると所有率が10%に上昇し、若年層に迫る数値を示していることから、年代によって日傘の受け入れ方に大きな差があることが明らかになりました。

■「男の日傘」ブーム到来!?利用意欲が所有率を大幅超過

<Q. 今年の夏における「日傘」の使用意向について、以下の選択肢より当てはまるものを1つお選びください。>N=500

*20代~60代 合計、年代別スコア

>今夏の日傘の使用意向について調査した結果、「ぜひ使いたいと思う」または「使っても良いと思う」と回答した男性は全体の22%と、現在の所有率の9.4%を上回りました。これから男性の日傘利用がさらに広まる可能性が高いことが示されました。ただし、「あまり使いたいとは思わない」「全く使いたいと思わない」との意見も半数以上を占め、日傘の利用には心理的ハードルが存在することも明らかです。

>年代別の分析でも、若い世代では使用意向が高く、一方で50代では非常に低い傾向が見られます。注目すべきは40代の結果で、所有率は8%でしたが、使用意向が25%と非常に高い数値を示しました。働き盛りの年代で、出社機会が増えることや近年の厳しい夏の暑さを考慮すると、日傘の必要性を新たに感じ始めている可能性があります。

■アウトドア人気も後押し!健康と快適性が増す夏の男の必須アイテム

<Q.あなたが「日傘」を使用したい・使っても良いと思う理由について、以下の選択肢より当てはまるものをすべてお選びください。>N=110

*20代~60代 合計スコア

男性が日傘を使用したいと思う理由は、大きく「健康保護」と「快適性」の2つに分けることができました。

>「健康保護」については、「UV(紫外線)から肌を守り、シミやそばかすを防止するため」と回答した人が全体の73.6%と大多数を占めていました。その他、「肌の老化を遅らせるために紫外線からのダメージを最小限にするため」(39.1%)、「日差しによる脱水症状や熱中症を防ぐため、全体的な健康を保つため」(38.2%)という理由が挙げられました。これらの回答から、美容と健康の両面で紫外線によるダメージを防ぐことを目指す男性が増えていることが明らかになりました。

>一方、「快適性」の観点からは、「直射日光を遮断し、外の暑さを和らげるため」(64.5%)、「暑さや日差しを和らげ、移動を快適にするため」(41.8%)という意見が多く出ました。これは日傘が、ここ数年の夏の厳しい環境下において、通勤や業務中の移動をはじめ、屋外活動を快適にするための有用なアイテムと認識されていることを示しています。

>さらに興味深いのは、アウトドア活動における日傘の有用性に対する認識です。「アウトドア活動(釣り、ハイキング、キャンプ等)での日差しや紫外線からの保護のため」を理由にした人が25.5%というデータは、アウトドア人気の中で、日傘が新たなニーズに応える存在となっていることを示しています。これは、日傘の利用が日常的なものに広がる一つの契機となるではないでしょうか。

■日傘利用のハードル、携行性に課題。周囲の目は気にしない

<Q. あなたが日傘を「どちらともいえない」「あまり使いたいとは思わない」「全く使いたいとは思わない」と思う理由について、以下の選択肢より当てはまるものをすべてお選びください。>N=390

*20代~60代 合計スコア

一方、日傘を使用したくないと感じる男性の理由について調査したところ、その大部分が「携行性」に関連しています。

>「日傘を使用する必要性を感じない」という意見が全体の45.1%と最も多く、また、「持ち歩くのが面倒」(37.4%)、「かさばる(荷物になる)」(30.0%)、「手がふさがって不便だと感じる」(24.9%)という意見も多く見られました。これらの回答から、日傘の利用には携行における利便性が重要であるということが確認できます。

>また注目すべきは、周囲からの評価を理由にした人がそれほど多くないことです。「男性が日傘を使うのは恥ずかしい」と感じる人が16.4%、「同性からの視線が気になる」と感じる人が7.7%、「異性からの視線が気になる」と感じる人が7.2%という結果から、男性が日傘を使用することに対して否定的なイメージは大きくはないことがわかります。

>これは、美容意識や健康意識の向上が男女問わず見られる現代において、男性に特化した日傘が存在し、その利用が日々増加しているという事実が広く認識されているためだと考えられます。男性の日傘使用に対する社会的・心理的なハードルは高くないと言えるでしょう。

■男が求める日傘要素「軽さ」「携行性」「UVカット」が絶対条件!未来へのイノベーションへも期待

<Q. あなたが仮に日傘を使うとしたら、どのような機能を特に求めますか?以下の選択肢より当てはまるものをすべてお選びください。>N=500

*20代~60代 合計スコア

>日傘を使用する際に男性が重視する要素を探ると、「軽量(持ち歩きやすい)」が最も重要で、全体の41.0%が選択。また、「コンパクトに折りたためる(収納しやすい)」という選択肢も32.4%と高く、これらの結果から、男性は日傘の携行性と利便性を重視していることが明確にわかります。

>さらに、日傘の機能として男性が重視するポイントは「UVカット(紫外線防止)」が34.4%と非常に高い結果となりました。男性も紫外線から肌を守ることが重要であると認識しているようです。日傘の基本的な機能である「遮光機能(日光を通さない)」(18.2%)や「遮熱機能(暑さを和らげる素材や工夫)」(12.0%)と比較しても重要性が際立っています。

>自由回答からは、男性が日傘に求める未来的な機能性を垣間見ることができます。「ミストが出る日傘」「充電機能のついた日傘」「ドローンのように滞空し手を塞がずに済む日傘」などが挙がりました。

★今回の気付き・ラーニング

今回の調査から、男性の日傘利用に対する心理的なハードルは高くないことが明らかになりました。所有率や使用意向から、日傘の使用が広まりつつあり、特に若年層において高い傾向が見られました

メーカー様や小売り様など、夏のビジネスチャンスを狙う方々は、男性の日傘利用を普及させるためには、以下の点に注力することが有効と考えます。

 

★品揃え: 軽量で持ち運びやすく、コンパクトに折りたためる日傘や、アウトドア向けの耐風性や防水性を備えた日傘を提供

 

★展開売場のアイデア: アウトドア用品売り場での特設展開や、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのレジ前での販売など、男性が手軽に購入できる環境を作る工夫を凝らす

 

★訴求方法: 健康保護や快適性のメリットを強調した広告やSNSキャンペーンを通じて、男性に対して日傘利用の魅力のアピール。また、教育・医療機関や関連企業との提携を通じて、正しい知識と利用方法の普及を推進

 

さらに、男性の心を掴むためには、新しい商品開発のアイデアを取り入れることも重要です。

★商品企画: 自動開閉機能や太陽光発電によるモバイル充電機能などの技術的な革新を取り入れた日傘や、日傘にセンサーや連携機能を備えたIoT製品など、男性のニーズに合った商品の開発

 

男性の日傘利用は、健康意識の高まりや快適性の追求など、新たなニーズに応える生活習慣としてますます普及するでしょう。男性の日傘は最近のギフト候補としても考えられ、身近なアイテムとなるはずです。

■調査方法:ウェブ調査

■調査エリア:全国

■調査対象者:20〜69歳男性

■サンプル数:合計500サンプル (20代~60代まで各100名)

■調査期間:2023年6月20日(火)~21日(水)

■株式会社ディーアンドエムの登録会員を対象に調査を実施

私たちが所属するデータドリブンプロモーション本部(DDP)は生活者心理・購買行動などあらゆるデータを収集・解析し、クライアントにおけるコミュニケーション戦略を立案している部門です。

当本部では、「生活意識の変化」「買い物の未来」「健康寿命の延伸」「SDGs」の4つをテーマに、自主調査を通じて生活者の行動や意識を把握しています。その結果とともに、これから先に起こり得る変化や、商品・サービスなどの企画のヒント等を私たちなりの視点での「気付き」をコラム形式でお届けしていきます。

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