
キャラクターや音楽といった知的財産権で保護された作品「IPコンテンツ」をビジネスに活用する手法が、注目を集めています。
しかし、IPコンテンツの具体的な活用方法や企画の進め方のイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、IPコンテンツビジネスの基礎知識から、IP活用のメリットや成果を出すポイントまでを網羅的に解説します。
自社サービスの販促やマーケティングにIPコンテンツの活用を検討中の方は、ぜひ最後までご確認ください。
[目次]
- 2-1, IPコンテンツの種類とビジネスの例
- 種類1. 自社IP
- 種類2. 他社IP
- 2-2, IPコンテンツを扱う日本の代表的な企業
- メリット1. 新規顧客の獲得
- メリット2. 自社ブランドのイメージアップ
- メリット3. 商品の売上拡大
- メリット4. コンテンツ開発コストの削減
- ポイント1. IPコンテンツとのマッチングを重視する
- ポイント2. IPのイメージや世界観を尊重してファンの心をつかむ
- ポイント3. 限定パッケージやグッズなど「特別感」を提供する
- ポイント4. ライセンス費用と契約条件をふまえて企画する
1, IPコンテンツとは、知的財産権で保護された創作物

日本では「知的財産」と訳される「IP(Intellectual Property)」。
人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物など、財産的な価値を持つものを指します。
「IPコンテンツ」は、そのIPを守るための制度である知的財産権(Intellectual Property Rights)によって保護された具体的な作品を意味する言葉です。
知的財産権には、例えば下記のような権利が含まれます。
産業財産権(商標権、特許権など)
著作権
身近なIPコンテンツの例は下記のとおりです。
音楽
マンガ・アニメ
ゲーム
小説
映画・ドラマ
キャラクター
2, IPビジネスの種類と代表的な企業

IPコンテンツを活用して収益を生み出すことを「IPビジネス」と呼びます。まずは、IPコンテンツをビジネス活用するうえで知っておきたい基礎知識を確認しましょう。
2-1, IPコンテンツの種類とビジネスの例
IPコンテンツは、知的財産の所有者によって「自社IP」と「他社IP」に大別されます。IPを所有しているかどうかでIP利用の自由度が異なるため、ビジネスへの活用のしかたも変化します。
< 種類1. 自社IP >
自社が創作・所有する、オリジナルキャラクターや音楽、デザインなどの知的財産は「自社IP」です。
例えば、任天堂株式会社の「スーパーマリオ」、株式会社サンリオの「ハローキティ」などは日本の代表的なIPコンテンツといえます。任天堂株式会社にとって、「スーパーマリオ」は自社IPです。
< 種類2. 他社IP >
「他社IP」とは、自社以外の企業が保有する知的財産を指します。ライセンス契約を結ぶことで他社が持つIPの使用権を借りて、自社の商品やサービスに活用するビジネスモデルです。
他社IPの場合、下記のようなビジネス例が挙げられます。

他社IPのビジネス活用は、ライセンス料の支払いや企画の自由度の低さはネックであるものの、IPが持っている既存の人気やファン層を活かせるところがメリットです。
小売り店舗でキャラクターなどを活用して実施するキャンペーン・プロモーションも、このような他社IPをお借りして計画することになります。
なお、スコープでは、取り込みたいショッパー層に影響力のあるIPコンテンツのご提案から、企画〜実施までのサポートを実施しています。
スコープの「IPコンテンツマッチ」の詳細は、下記リンクからご確認ください。
2-2, IPコンテンツを扱う日本の代表的な企業
世界的に見ても、日本のIPビジネスは非常に活発であり、ゲームやアニメを中心に大きな国際的影響力と市場規模を誇っています。

出典:経済産業省|令和5年度補正文化芸術コンテンツ・スポーツ産業海外展開促進事業
IPコンテンツを扱っている日本の主要企業と代表的なIPは、下記のとおりです。
- ●任天堂株式会社|「スーパーマリオブラザーズ」「ポケットモンスター」
- ●株式会社サンリオ|「ハローキティ」「シナモロール」
- ●株式会社バンダイナムコホールディングス|「機動戦士ガンダム」「ドラゴンボール」
- ●ソニー株式会社|「グランツーリスモ」ほか音楽・映画など幅広い分野のIP
- ●株式会社KADOKAWA|書籍・雑誌・ライトノベル・コミックスなどの出版物
いずれの企業も独自の人気コンテンツを展開して、長年にわたり世界中の人々から支持されています。
3, IPコンテンツをビジネスに活用する4つのメリット

他社IPコンテンツをビジネスに取り入れることで、ブランディングや販促面などでさまざまなメリットを得られます。
メリット1. 新規顧客の獲得
他社IPがもつ既存のファン層を活用することで、自社に新しい顧客を呼び込むことができるのは大きなメリットです。特に、自社商品が狙うターゲット層とIPコンテンツのファン層が合致する場合、より高い効果が見込めます。
自社のブランド力だけでは難しかった新しい市場の開拓も、IPをフックとすることでターゲット層との接点を創出しやすくなるでしょう。
メリット2. 自社ブランドのイメージアップ
他社IPが持つポジティブなイメージを自社の商品やブランドに付加できる点も、大きなメリットです。例えば、「かわいい」「先進的」「身近な存在」といったIPのイメージを借りることで、自社ブランドの価値を高め、競合製品との差別化を図れます。
自社商品や企業イメージに対する好感度や信頼性を向上させる目的においても、IP活用は効果的です。
メリット3. 商品の売上拡大
他社IPの力を活用することで、直接的な売上増加を後押しすることも可能です。
例えば、限定デザインのパッケージやオリジナルのノベルティグッズといった施策は、ファンのコレクション意欲を刺激し、複数購入やまとめ買いを促す効果があります。また、店頭でもキャラクターの絵柄は非常に目立つため、消費者の視線を集めやすいところもメリットです。
短期的な売上アップを図るなら、販促現場での他社IPの活用も検討するとよいでしょう。
メリット4. コンテンツ開発コストの削減
すでに多くのファンに支持されている他社IPを活用すれば、自社のキャラクター開発にかかるコストや期間を丸ごとカットできる点もメリットです。
特に、人気IPとコラボした商品は、ファンが自発的にSNSで投稿してくれる可能性もあります。大々的な広告キャンペーンを展開しなくても、ファンの力である程度の注目を集めることができるため、販促活動全体を効率化し、コストを抑えながら高い効果を狙うことができます。
4, IPコンテンツ活用で成果を出すポイント4選

IPコンテンツを自社のビジネスに活用する際には、IPの選定や活用方法が成功の鍵です。ここでは、IPコンテンツ計画におけるポイントを解説します。
ポイント1. IPコンテンツとのマッチングを重視する
最も重要なのは、「なぜ、そのIPと組むのか」という視点です。IPコンテンツ活用の効果を最大化するためにも、自社の商品やブランドが持つイメージと、
起用したいIPのファン層が合致しているか慎重に見極めましょう。
特に、「人気があるから」という理由だけでIPコンテンツを選定するのは要注意です。業種やターゲット層に合わないものを選んでしまうと、消費者に違和感を与え、期待した効果が得られないおそれがあります。
ポイント2. IPのイメージや世界観を尊重してファンの心をつかむ
他社IPには、長年かけて創り上げられてきた世界観やストーリー、そしてそれを深く愛するファンが存在します。作品のイメージを損なうような安易な表現や商品化は、ファンの反感を買う「炎上」のリスクがあります。
ファンが「このコラボは作品をよく理解している」と感じるような、リスペクトに満ちた丁寧な企画こそが成功の鍵。ファンの心をつかむことができれば、SNSで拡散してもらえる可能性も高まります。専用のハッシュタグを用意するなど、参加型のSNSキャンペーンの実施も効果的な施策の一つです。
ポイント3. 限定パッケージやグッズなど「特別感」を提供する
IPコンテンツを販促に活用する際には、「期間限定パッケージ」や「ここでしか入手できないオリジナルグッズ」といった、希少性や独自性、コレクション性を演出することが重要です。特別感があることでファンの収集意欲を強く刺激し、SNSでの情報拡散や、複数購入といった熱量の高い消費行動につながります。
消費者に「これは価値がある」と思わせる付加価値を提供できれば、コラボレーションの効果をさらに高めることができるでしょう。
ポイント4. ライセンス費用と契約条件をふまえて企画する
IP利用にかかる費用や条件を企画の初期段階で正確に把握し、採算が取れるか、制約のなかで実現可能かを慎重に検討する必要があります。
他社IPの活用は、コンテンツを使用するライセンス料などのコストが発生するビジネスです。また、使用範囲やデザインの監修、契約期間、展開可能なチャネル(Web限定、店舗のみ等)など、コンテンツにはさまざまな制約が定められています。
費用対効果を見極め、ビジネスとして成立する範囲で企画を具体化していく視点が不可欠です。
5, IPコンテンツを活用したプロモーションの流れ

先述のとおり、IPコンテンツを活用した自社のプロモーションを成功させるには、戦略的かつ綿密な計画が重要です。最後にIPコンテンツ活用の理想的な流れを、弊社が提供するメーカー向けマーケティング支援サービス「IPコンテンツマッチ」の例を用いてご紹介します。

1, ターゲット分析
2, 最適なIPを選定
3, プロモーション計画
4, キャンペーン・景品などの制作・実行
5, 売上データをもとに効果検証
上記の流れで進めることで、プロモーションを進めやすくなります。
ただし、IPコンテンツ活用の効果を最大化するには専門的な知識やノウハウが不可欠。IPコンテンツ活用を検討するなら、マーケティングや販促プロモーションに長けた企画会社などのプロを頼るのも一手です。
6, IPコンテンツを活用して、プロモーションの成果を上げよう

キャラクターや音楽といったIPコンテンツをビジネスに活用することで、収益を生み出すことができます。
特に、すでに知名度があるIPコンテンツを利用することは、自社サービスの販促や認知向上につながる有効な手法です。本記事で解説した活用のポイントを参考に、ご担当のサービスにぴったりなプロモーションをご検討ください。
もしも、適切なIPコンテンツの選定や効果的なプロモーション計画に不安があるなら、IPコンテンツの提案からプロモーションまでをパッケージ化したメーカー向けマーケティング支援サービス「IPコンテンツマッチ」がおすすめです。
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