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“集活”で理想を実現したい若者と、“トモ活”の重要性に気付く熟年層

2023.01.13
データマーケティングセンター 今井 洋

連続レポート(全3回)第2回 家計とモノの所有に関する生活者意識についての調査レポート

コロナ禍をきっかけとした新たな生活意識・行動や最近の物価高、さらにはSNSやデジタルテクノロジーの発展なども含めて生活環境は大きく変化しています。そのような中で人々の「出費」や「モノとの関わり」に対してどのような意識や考え方を持っているのでしょうか?世代や性別による傾向を見てみました。
前回に引き続き、2022年10月7日~11日の5日間に実施したウェブアンケート調査をもとに考察します。

【出費に対する意識(目的別)】

<Q.「出費」に対する以下の項目ごとに、あなたのお気持ちに当てはまるものを1つずつお選びください (積極的に出費をしたいと思うか?)> n=1,000
*全体・性別・性年代別スコア (積極的にお金を出したいと思う項目について「当てはまる」もしくは「どちらかというと当てはまる」と回答したスコア)

属性別のスコアから、注目した部分をピックアップします。

‐注目ポイント‐

❶20代の「自分自身の健康」への出費意識が高い

男性のスコアを見てみると、全体で49.0%であるのに対し、20代では56.0%と最も高いスコアとなっています(20代女性についても59.0%)。

>20代の「自分自身の健康」への出費意識が高い背景には、手軽に健康管理ができるスマホアプリやスマートウォッチの存在や、SNS等を通じてヘルスケアについてのライフハックや有名人の取り組みに関する情報と触れる機会が多いことがきっかけになっているのではないでしょうか。

❷「社会貢献」に関する出費意欲は、若年層のスコアが目立っている

買い物を通じた社会貢献や寄付などを含め、20・30代の出費意識の高さが際立っており、「買い物を通じて環境保全・環境問題の解決に貢献できること」では、男性であれば、20代の30.0%に対し60代では16%と2倍近い差があります。

>学校での教育機会や、SNS等を通じて環境や人権などの様々な社会課題に関する情報に接していることも、出費意欲の高さに繋がっているのではないでしょうか。

❸20代女性の「推し活」率は約6割

アイドルやキャラクターを応援する「推し活」に積極的に出費をしたいと思っている割合は59.0%と、他の年代と比較しても圧倒的なスコアとなっています。

>グッズ購入など推し対象への直接的な応援出費以外にも、コラボ商品・サービスなども含めると、「推し活」の強い市場への影響力を感じます。

(後述の質問から、「推し活」への出費意欲があると答えた人は、“モノの数”が推し対象への貢献と自身の満足感に繋がっていることもわかりました)

❹男性の「モノではなく、思い出に残ること」への出費意欲が50代から60代にかけて急上昇

男性の50代では26.0%だったのに対し、60代では37.0%と11ptの急上昇となっています。一方、女性のスコアを見てみると、50代は46.0%から60代では42.0%と4pt減少しています。また、同時に「友人・知人との交際」に関する出費についても、男性が上昇・女性が減少の動きを見せています。

>以前から、『会社中心の生活を送っていたところから、退職することで急に会社以外での人間関係が無くなり居場所がなくなってしまう』といったことが世間で話題として取り上げられますが、まさにその意識が数字にあらわれているのではないでしょうか。

>定年を迎え、これから家族や家族外の人との“時間”を充実させようと考える男性がいる一方で、時間を楽しみつつも、少しずつ広い交友関係を狭め“濃さ”を求めていくような、中高年男女による優先順位の相違のようなものがこの数字に現れているように思います。

【モノの所有に対する意識】

<Q.あなたご自身のモノに対する考え方として、以下の選択肢より最も当てはまるものを1つお選びください。(どのような状態であることが幸せと感じるか?)> n=1,000
*20~60代 合計スコア

■モノよりコトを重視したいと思っている人は約3割。約1割は「モノを持たない」ことが幸せの形

・モノの所有に関する考え方としては、「モノよりも経験や思い出が残っている状態」を理想としている人が32.0%で最も高く、次いで「数は少なくても高価なモノがある状態」が27.7%で続いています。

・また、金額は問わず、たくさんのモノに囲まれているよりも、大切なモノに厳選されているほうが幸せと感じている人が多く、「モノを持たない状態」を理想としている人も、全体の12.1%存在します。

*性別・性年代別スコア

属性別のスコアから、注目した部分をピックアップします。

‐注目ポイント‐

❶年代が上がるにつれ、「モノからコト」「モノを持たない状態」を理想とする傾向に

60代では「モノよりも経験や思い出が残っている状態」を理想とする割合が4割を超えており、「モノを持たない状態」についても2割に迫るスコアとなっています。

>仕事・子育てから解放されたことで、時間を充実させる意識の高まりとともに、ライフイベントとして定着した“終活”の一環として、元気なうちにモノを整理することで、できるだけ家族に迷惑をかけたくないという気持ちが含まれているのだと思います。

❷「モノ」に幸せを感じる男性、「モノよりコト」を重視したい女性

男性については、20-40代では3割以上の人が金額を問わず「たくさんのモノに囲まれている状態」を理想としており、50代に入り「数は少なくても、高価なモノがある状態」を望む人が増える傾向にあります。

>20代から40代の男性は、もともと物欲やモノへのこだわりが比較的強い世代であるのでスコアとしては自然な傾向だと思います。その中で、在宅時間が増えたことでの趣味への投資拡大やストレス発散といった側面もあるのかもしれません。

…女性は、いずれの年代においても「モノよりも経験や思い出が残っている状態」を理想としている割合が3割を超えており、30代と60代に大きなヤマが存在しています。

>30代であれば、それぞれの状況により、子どもとの時間や、経済的なゆとりが出始めるタイミングということから時間を楽しんでいる状況がうかがえます。

★今回の気づき・ラーニング

出費やモノの所有に関する意識をアンケートのスコアから見てみると、各年代のライフスタイル等に基づいた傾向を見ることが出来ました。その中では、特に20・30代といった若い世代はモノを買い、モノを持つことによって、自分自身の欲求・目的を実現したい“集活”の傾向が見えてきました。よく、「最近の若者は消費に慎重・消極的」だといわれることがありますが、身の回りに関連する要素に限らず、流行や世の中の話題のモノ、社会貢献、経験や思い出に残るコトに至るまで幅広い範囲で出費意欲は高く、情報発信力の面からも商品やサービスを提供する側の視点から見れば若年層が持つポテンシャルは他のどの年代よりも高いと考えます。
また、中高年になって気付く「人とのかかわり」についても、注目すべきポイントではないでしょうか。これから先『人生100年時代』を迎えるにあたり、人とのかかわりによって得られる心の豊かさや安心感等は、生きる上で今まで以上に重要なものになっていくと思います。世間では、「学び直し」や「新しいことにチャレンジできる」社会作りへの取り組みが活発化していますが、同時に、生涯の「友」人、時間を「共」にする仲間、長い人生を「伴」に進むパートナーを作る“トモ活”への取り組みも改めて社会全体で考えていく必要のあるテーマではないでしょうか。
最終回となる第3回のレポートでは、身の回りの商品やサービスの値上げが相次ぎ家計への影響が高まる中での、生活者の「お金を借りること」に対する意識について取り上げてみたいと思います。

<調査概要>

■調査方法:ウェブ調査

■調査エリア:全国

■調査対象者:20歳~69歳男女  ・未既婚の指定、既婚者の子ども有無の条件無し

■サンプル数: 本調査 合計1,000サンプル

■調査期間:2022年10月7日(金)~11日(火)

■株式会社アスマークが運営するアンケートモニターサイト『D style web』の登録会員を対象に調査を実施

 

私たちが所属するデータマーケティングセンター(DMC)は生活者心理・購買行動などあらゆるデータを収集・解析し、クライアントにおけるコミュニケーション戦略を立案している部門です。

当センターでは、「生活意識の変化」「買い物の未来」「健康寿命の延伸」「SDGs」の4つをテーマに、自主調査を通じて生活者の行動や意識を把握しています。その結果とともに、これから先に起こり得る変化や、商品・サービスなどの企画のヒント等を私たちなりの視点での「気付き」をコラム形式でお届けしていきます。

具体的な課題をお持ちの方、課題がみえていない方でも皆様の状況に合わせたベストなソリューションをご提案します。

ご気軽にお問い合わせください。

※調査結果については、クロス集計表をご用意しております。ご希望の際は、弊社お問い合わせよりお願い致します。

※本情報の引用・転載時には、必ず当社クレジットを明記いただけますようお願い致します。

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